2026.06.30

基礎知識

民泊で撮影スタジオ・レンタルスペースとして活用する場合の基本的な考え方

民泊で撮影スタジオ・レンタルスペースとして活用する場合の基本的な考え方

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民泊物件をレンタルスペースとして活用する方法は、収益の多角化を図るうえで非常に有効な選択肢です。宿泊需要が落ち込む平日の日中や閑散期に、撮影スタジオやパーティースペース、会議室として物件を貸し出すことで、稼働率と売上の底上げが期待できます。実際に、民泊とレンタルスペースの二毛作運営で月間売上を1.5倍以上に伸ばしている事例も少なくありません。

一方で、民泊物件をレンタルスペースとして併用するには、法的な整理や物件の適性判断、料金設定、近隣対策など、宿泊運営とは異なる視点での検討が必要になります。本記事では、民泊で撮影スタジオやレンタルスペースとして活用する際の基本的な考え方を、具体的な数値や事例を交えて解説します。

民泊物件をレンタルスペースとして活用するメリット

空き時間の収益化による売上向上

民泊は宿泊がメインのため、チェックアウトからチェックインまでの日中帯やゲストのいない平日は収益がゼロになります。住宅宿泊事業法に基づく届出住宅の場合、年間営業日数の上限が180日と定められているため、残り185日は宿泊で稼ぐことができません。この未稼働時間にレンタルスペースとして貸し出すことで、年間を通じた収益を最大化できます。

たとえば、1時間あたり3,000円でレンタルスペースとして貸し出し、1日平均4時間の利用があるとすると、月20日稼働で24万円の追加売上が生まれます。民泊の月間売上が30万円程度であれば、合計54万円となり、約1.8倍の収益増となる計算です。

ゲスト層の分散によるリスクヘッジ

宿泊需要はインバウンドの動向や季節変動に大きく左右されます。レンタルスペースの利用者は、企業の撮影担当者、フリーランスのフォトグラファー、YouTuber、セミナー主催者など、宿泊客とはまったく異なる層です。このように収益の柱を複数持つことで、一方の需要が落ちてももう一方でカバーする構造が作れます。

実際に、宿泊売上が前年比で30%落ち込んだ時期にも、レンタルスペースの売上が安定していたことで全体では10%減に抑えられたという運営者の声もあります。複数の収益チャネルを持つことは、民泊経営の安定性を高めるうえで重要な戦略です。

撮影スタジオとしての活用に向いている物件の特徴

自然光と天井高の確保

撮影スタジオとして利用されるレンタルスペースに求められる最大の要素は、自然光が十分に入ることです。南向きの大きな窓がある物件は、ポートレート撮影やアパレルの商品撮影で高い需要があります。天井高は2.4m以上、できれば2.7m以上あると照明機材の設置やストロボの使用がしやすく、利用者から好まれます。

築古の一戸建てや倉庫をリノベーションした物件は、独特の雰囲気と広さを兼ね備えていることが多く、撮影スタジオとして人気が高い傾向にあります。反対に、窓の少ないワンルームマンションや北向きの物件は、撮影用途には不向きなため、パーティーや会議利用など別の用途を検討するのが現実的です。

インテリアと背景のバリエーション

撮影利用者が重視するのは「画になる空間」です。白壁のシンプルな空間は汎用性が高く、コスメやアクセサリーの物撮りから人物撮影まで幅広く対応できます。一方で、ヴィンテージ家具やドライフラワー、レンガ壁などの特徴的なインテリアがある空間は、SNS映えを求める個人利用やMV撮影の需要を取り込めます。

民泊物件のインテリアをそのまま撮影スタジオとして活かすケースでは、追加投資がほぼ不要です。デザイン性の高い民泊物件であれば、3万〜5万円程度の小道具追加(スタンドライト、ドレープカーテン、観葉植物など)で撮影需要に対応できるため、初期コストを抑えながら収益源を増やせます。

法的な整理と必要な手続き

用途変更の要否と消防法への対応

民泊物件をレンタルスペースとして貸し出す場合、建築基準法上の用途変更が必要になるかどうかは、利用形態と延べ床面積によって判断が分かれます。不特定多数が利用する「集会場」に該当すると判断されると、200㎡を超える物件では用途変更の確認申請が求められる可能性があります。物件の所在する自治体の建築指導課に事前相談することを推奨します。

消防法上は、レンタルスペースとしての利用が「不特定多数の者が出入りする用途」に該当する場合、消火器の設置や誘導灯の追加が求められることがあります。消火器1本あたり5,000〜8,000円、誘導灯は1か所あたり2万〜3万円程度のコストがかかりますが、安全面で不可欠な投資です。管轄の消防署に相談し、必要な設備を事前に確認してください。

賃貸物件の場合のオーナー許可と保険

賃貸物件を民泊として運営している場合、レンタルスペースとしての併用についてもオーナーまたは管理会社の承諾が必要です。民泊の転貸許可を得ていても、それがレンタルスペース利用を包含するとは限りません。撮影機材の搬入による共用部の使用や、不特定多数の出入りによる建物管理上のリスクについて、書面で合意を取り付けることが不可欠です。

また、民泊用の施設賠償責任保険がレンタルスペース利用時の事故もカバーするかどうかを保険会社に確認してください。カバーされない場合は、レンタルスペース向けの賠償責任保険(年間保険料1万〜3万円程度)に別途加入する必要があります。利用者が撮影機材を倒して壁を傷つけた場合や、来訪者が転倒して負傷した場合の備えは、運営を続けるうえで欠かせません。

料金設定と集客プラットフォームの選定

エリア相場を踏まえた価格帯の決め方

レンタルスペースの料金は立地・広さ・設備によって大きく異なりますが、都市部の撮影スタジオ利用で1時間あたり2,000〜8,000円が一般的な相場です。パーティー利用であれば1時間1,500〜5,000円、会議利用なら1時間1,000〜3,000円がボリュームゾーンとなっています。自物件と類似した条件のスペースを予約プラットフォームで5〜10件調査し、中央値の±10%を目安に初期価格を設定するのが合理的です。

民泊との併用で運営する場合、平日日中は割安に設定して稼働率を優先し、土日祝日や夕方以降の人気時間帯はプレミアム価格を設定する「時間帯別料金」が効果的です。たとえば、平日10〜17時は1時間2,500円、土日祝日は1時間4,000円といった二段階設定にすることで、平均単価を引き上げつつ平日の集客力も維持できます。

主要プラットフォームの特徴と使い分け

レンタルスペースの集客には「スペースマーケット」と「インスタベース」が二大プラットフォームとして知られています。スペースマーケットは月間利用者数が多く、撮影・パーティー・会議と幅広い用途に対応しており、手数料は売上の30%前後です。インスタベースは撮影やワークショップ利用に強く、手数料は売上の20〜35%程度で、プランによって変動します。

まずは両方に掲載して3か月程度のデータを取り、予約件数と手数料控除後の利益率を比較したうえでメインプラットフォームを決定するのが実践的です。加えて、自社のInstagramやGoogleビジネスプロフィールからの直接予約導線を構築すれば、プラットフォーム手数料を削減でき、リピーター獲得にもつながります。月間5件以上の直接予約を獲得できれば、手数料の削減額だけで月2万〜3万円のコストカットが見込めます。

運営上の注意点とトラブル防止策

近隣住民への配慮と騒音対策

レンタルスペース運営で最も多いトラブルは、利用者による騒音と近隣住民からの苦情です。特にパーティー利用の場合、音楽の音量や深夜の話し声が問題になりやすいため、利用時間の上限を22時までに設定する、スピーカーの持ち込みを禁止する、といったルールを利用規約に明記してください。撮影利用であっても、大人数でのロケや屋外での声出しには注意が必要です。

事前に近隣住民に対して「日中にスペース貸し出しを行う旨」を説明しておくことで、突然の苦情を予防できます。運営開始前に挨拶回りを行い、緊急連絡先を渡しておくと信頼関係の構築に効果的です。万が一苦情が入った場合に備えて、利用者への注意喚起を即座に行える体制(SMS送信やスマートロックとの連携による入室管理など)を整えておくことも必要です。

原状回復と備品管理のルール整備

レンタルスペースでは、利用後の汚損・破損リスクが宿泊利用以上に高くなることがあります。大型機材の搬入による床の傷、壁への画鋲使用、キッチン設備の汚れなどが典型例です。利用規約に原状回復の義務と違反時のペナルティ(修繕費の実費請求)を明記し、予約時に同意を取得する仕組みを作ってください。

具体的な対策として、チェックイン前後の室内写真を自動撮影するネットワークカメラの設置(カメラ1台1万〜2万円程度)や、利用前にクレジットカードで保証金3,000〜10,000円を預かる仕組みが有効です。備品リストを作成し、利用前後で数量確認を行う運用ルールを定めることで、紛失時の対応もスムーズになります。

民泊とレンタルスペースを両立するスケジュール管理

ダブルブッキングを防ぐカレンダー連携

民泊とレンタルスペースの予約を同時に管理する場合、最大のリスクはダブルブッキングです。Airbnbなどの宿泊予約とスペースマーケットなどのレンタル予約が重複しないよう、iCal連携やサイトコントローラー(Beds24、直予約.comなど)を使ったカレンダー統合が不可欠です。手動管理ではヒューマンエラーが発生しやすく、月に1件でもダブルブッキングが起きると信頼低下と返金対応で数万円の損失につながります。

具体的な運用としては、宿泊のチェックアウト(通常10〜11時)からチェックイン(通常15〜16時)までの4〜5時間をレンタル枠として開放するパターンが一般的です。清掃時間を1〜1.5時間確保したうえで、レンタル利用を11時〜14時の3時間に限定すれば、宿泊運営との干渉を最小限に抑えられます。

清掃オペレーションの最適化

宿泊とレンタルの間に清掃が2回入るケースでは、清掃コストが増大します。1回あたりの清掃費が4,000〜6,000円の場合、月20回のレンタル利用があると清掃費だけで8万〜12万円かかり、収益を圧迫します。対策として、レンタル利用後は利用者自身に簡易清掃を義務付け(ゴミの持ち帰り、テーブル拭き、掃除機がけ)、運営側の清掃はクイック清掃(15〜30分、費用1,500〜2,000円)で済ませる方法が効率的です。

利用規約に清掃ルールを明記し、チェックアウト時の写真提出を義務付けることで、利用者の自主清掃率を高められます。これにより、フル清掃が必要になるケースを月2〜3回程度に抑え、清掃コストを月間3万〜4万円に削減できた事例もあります。

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民泊物件を撮影スタジオやレンタルスペースとして併用運営するには、法的手続き、料金設計、スケジュール管理、トラブル対策など、多岐にわたる専門知識と実務経験が求められます。個人で全てを対応するには負担が大きく、判断を誤ると収益を伸ばすどころか赤字やトラブルを招くリスクもあります。

民泊運営代行のStay Buddy株式会社では、宿泊運営の代行にとどまらず、物件の収益最大化に向けた多角的な活用提案を行っています。レンタルスペース併用に適した物件の見極め、プラットフォーム選定、料金設定のアドバイスなど、実績に基づいた具体的なサポートが可能です。

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