「民泊清掃」のニーズは高まる一方です。

特に大都市や観光地では清掃スタッフや清掃業者が不足しているため、「自分で民泊清掃のビジネスを始めてみたい」という個人事業主の方も増えています。

実際に、ホテル清掃やハウスクリーニングと比べても、民泊清掃は時間の制約が厳しく、物件によって清掃内容が大きく変わるなどの特徴があり、しっかりとした体制を整えれば需要はまだまだ取り込める分野だといえます。しかし、開業にあたってはさまざまな準備や事業計画が必要であり、安易に始めるだけでは失敗するリスクも少なくありません。

そこで本記事では、個人事業主として民泊清掃業を開業するまでの手順と、成功するためのポイントをわかりやすく解説します。具体的には「市場調査」「資金計画」「清掃スタッフ確保」「契約方法」「運営のコツ」などを順を追って取り上げていきますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

1. 民泊清掃業を開業するための事前準備

1-1．市場調査とターゲットエリアの選定

開業にあたって最初に取り組むべきは、どのエリアの物件を対象とするのかという市場調査です。

都市部や観光地では、物件数が多く需要が見込める一方、競合も多くなります。逆に郊外や小さな観光スポットでは競合が少ない反面、依頼件数が十分確保できない可能性もあります。事前にネットや地域情報を活用して、どのエリアにどれだけ民泊物件があるのか、どんな業者が既に参入しているのかを調べ、自分の清掃サービスで勝負できる余地があるかを見極めることが大切です。

• チェックすべきポイント
  • AirbnbやBooking.comなどで部屋数や価格帯をリサーチ
  • 既存の民泊清掃業者の料金相場や対応物件を確認
  • 自分の拠点からの交通アクセスや移動時間を考慮（効率的に複数物件を回れるか）

1-2．事業計画・資金計画の策定

次に、売上と経費のシミュレーションを行い、どのくらいの規模でスタートするかを検討します。個人事業主として開始するなら、最初は自分一人で小規模物件をいくつか請け負い、徐々にスタッフを増やして拡大していく形も考えられます。

• 想定する売上
  • 1物件あたりの清掃単価（例：1K〜1DKで3,000〜5,000円、2LDK以上で5,000〜8,000円など）
  • 1日に何件こなせるか、月間合計何回清掃できるかを概算して、売上目標を設定
• 経費と投資
  • 清掃用具（掃除機、モップ、バケツ、洗剤など）の購入費やメンテナンス費
  • 交通費（車両を使う場合は燃料代や駐車場代）
  • スタッフを雇う場合の人件費や求人費用
  • オフィスや倉庫を借りるかどうか

事業計画をしっかり練ることで、自分の開業スタイルが明確になり、あとで方向修正を余儀なくされるリスクが減ります。

1-3．必要な届出・手続き

個人事業主として開業する場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するのが基本です。清掃業自体は、特別な資格や免許が不要なケースが多いですが、各自治体によっては廃棄物処理や保健所との関係など、注意すべきルールがあるかもしれませんので、念のため地方自治体の条例などを確認すると良いです。

また、スタッフを雇用する場合は雇用保険や社会保険の手続き、損害や事故が起きた際の保険加入（賠償責任保険など）も検討しておきましょう。

2. 清掃業務の仕組みづくり

2-1．清掃マニュアルとチェックリスト

民泊清掃は短時間で多くの作業をこなすため、業務の効率化とミス防止が不可欠です。特にスタッフを増やす予定がある場合は、清掃マニュアルを作成して各物件の作業手順や使用する洗剤・道具、仕上げのチェックポイントなどを明確にし、誰が担当しても同じクオリティになるように整備しましょう。

• 清掃チェックリスト例
  1. リネン交換（ベッドメイク、タオル補充など）
  2. 床掃除機がけ → 拭き掃除
  3. バスルーム・トイレの洗浄と消毒
  4. キッチンの油汚れ、シンク、排水口の清掃
  5. 消耗品補充（シャンプー、トイレットペーパーなど）
  6. 窓・ドアノブ・電気スイッチの拭き取り

チェックリストをもとに最終確認し、写真付きでオーナーに報告する形をとれば、クオリティが高く評価されやすいです。

2-2．リネン管理と洗濯体制

ベッドやタオル類の交換は民泊清掃の重要な部分を占め、リネン管理が疎かになると不潔な印象を与えたり、在庫不足で清掃が間に合わないといったトラブルが起きます。

大規模に展開するならリネンサプライ業者と提携して洗濯・保管を委託する方法もあり、小規模なら自社や近隣のコインランドリーで洗う形も考えられます。どちらにせよ、「どれくらいの頻度で交換し、使用済みリネンはどう洗い、保管するか」をルール化することが大切です。

2-3．スケジュール管理とスタッフ配置

民泊物件が増えると、チェックアウト時間とチェックイン時間が重なる複数の物件を同時並行で清掃する必要が出てきます。

リアルタイムのスケジュール管理が非常に重要であり、どのスタッフがどの物件を担当するか、移動ルートや時間をどのように組むかを丁寧にプランニングしないと、ゲストが到着しても清掃が終わっていないという深刻なクレームに発展しかねません。エクセルやグループウェア、チャットツールなどを活用し、スタッフ全員が予定を共有できる体制を構築しましょう。

3. 契約と取引拡大のポイント

3-1．オーナー・代行会社との契約

民泊清掃は、物件のオーナーや運営代行会社との業務委託契約が中心となります。

1回あたりの清掃料金（基本料金やオプション）や支払い条件、キャンセル料、破損時の責任などを明確に記載した契約書を作成することで、トラブルを回避しやすくなります。特に繁忙期や早朝・深夜対応などは割増料金を設定しないと利益が出にくい場合があるので、条件をしっかり交渉すると良いでしょう。

3-2．価格競争と付加価値

民泊清掃業界は参入しやすい反面、価格競争が激しくなりがちです。

安売りしすぎるとスタッフ確保や品質維持が難しくなるため、付加価値を提供する形で差別化を図るのが成功のカギといえます。たとえば「写真報告付き」「消臭・除菌に力を入れる」「予約サイトのレビュー管理を代行」といったプラスアルファのサービスを打ち出し、単なる清掃以上のメリットをオーナーに感じてもらう方法があります。

3-3．リピーター獲得と口コミ

物件オーナーや代行会社が「この清掃会社は信頼できる」と評価してくれれば、長期契約や新規紹介につながりやすいです。逆にクオリティに安定感がないと短期間で切られてしまうリスクがあります。日々の作業品質とトラブル対応を徹底し、リピーター（継続契約）を増やしていくことで収益の安定化を図ることができます。

4. 成功のための注意点とリスク管理

4-1．労働環境とスタッフのケア

清掃は体力仕事であり、短時間に集中して作業するスタイルが多いため、スタッフのモチベーションや健康管理が欠かせません。スタッフが次々に辞めてしまうと業務が回らなくなるので、作業のしやすいマニュアルを整備し、適切な休憩や労働時間のコントロールを行うなど人材ケアを大切にするとよいでしょう。

4-2．保険や賠償責任

清掃中に設備を破損したり、事故が起きて物件に損害を与えるリスクはゼロではありません。業者としては、賠償責任保険（施設賠償責任保険や請負業者賠償責任保険など）に加入しておくと安心です。契約書にも「清掃側の過失による破損・損害はどの程度責任を負うのか」をしっかり記載し、オーナーとの間で認識をそろえておきましょう。

4-3．繁忙期と閑散期のバランス

民泊清掃は観光需要やイベントに大きく左右され、繁忙期にはスタッフが不足し、閑散期には仕事が激減するなど波が激しい傾向があります。

ビジネスとして継続するには、オフシーズンにもある程度仕事を確保する工夫や、旅行以外の需要（長期出張や学会など）を探すことが大切です。また、繁忙期に対応できるだけのスタッフを確保しておく必要があるため、組織的な柔軟性が問われます。

5. まとめ：個人事業主で民泊清掃を始める意義と将来性

民泊清掃業は、民泊市場の拡大や高い清潔感への需要が後押しとなり、まだまだ成長の余地がある分野です。個人事業主として参入するメリットは、比較的小規模な投資で始められ、複数の物件を安定的に受注すれば十分な収益を得られる可能性がある点にあります。

しかし、短時間で高い水準の掃除を求められるため、スタッフのマネジメントや品質管理が成功のカギを握ります。繁忙期に対応できる体制を整え、オーナーとのコミュニケーションを緊密に行い、レビュー評価や口コミで高評価を狙うことが収益拡大につながるでしょう。

これから個人事業主として民泊清掃を始めたい方は、市場調査、事業計画、スタッフ確保、契約形態の整備といったステップを踏みながら、一歩ずつ準備を進めることが重要です。プロとしての誠実な仕事と付加価値の提供が認められれば、リピーター（オーナーや代行会社）からの紹介や依頼が増え、長期的に安定した運営が期待できます。

民泊Stay Buddy株式会社へのお問い合わせ

民泊清掃業を開業するにあたり、「どのように物件を探せばいいか」「業務フローやスタッフの指導をどう行えばいいのか」「オーナーとの契約書づくりが難しい」など、さまざまな課題があるかもしれません。そうした疑問や不安をお持ちの方は、ぜひStay Buddy株式会社へお問い合わせください。

民泊運営を幅広くサポートしてきた豊富な実績をもとに、清掃業者としての立ち上げから実務の効率化、オーナーとの契約手続きまで、総合的にアドバイス・サポートを行っています。成功するためのノウハウを学びながら、最適なプランを作り上げるお手伝いをいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。