2025.12.20

一軒家

一軒家で旅館業とるなら保健所・消防署への事前相談は必須です

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一軒家で旅館業許可を取るなら「事前相談」は絶対!保健所・消防署へ行くべき理由とポイント

「実家が空き家になったので、リノベーションして宿泊施設にしたい」

「中古の戸建てを購入して、365日営業可能な簡易宿所(ゲストハウス)を始めたい」

インバウンド需要の回復とともに、一軒家を活用した旅館業(簡易宿所営業)への参入を検討する方が増えています。民泊新法(年間180日制限)とは異なり、通年営業で収益を最大化できるのが旅館業の魅力です。

しかし、ここで多くの初心者が陥る致命的な落とし穴があります。それは、**「物件を購入・賃貸してから、許可が取れるか確認する」**という順序の間違いです。

先にこの記事の結論からお伝えします。

一軒家で旅館業を始める際、保健所・消防署・建築指導課への「事前相談」は、物件契約前の「絶対条件」です。

これを怠ると、「数千万円で購入したのに、許可が下りずにただの空き家になった」「消防設備の工事費が予想外に数百万円もかかり、資金ショートした」という最悪の事態になりかねません。

この記事では、なぜ事前相談がそこまで重要なのか、そして各行政窓口で具体的に何を確認すべきなのかを、失敗事例を交えながら徹底解説します。

なぜ「事前相談」なしの見切り発車は危険なのか?

一般的な住宅(マイホーム)と、旅館業法上の宿泊施設とでは、建物に求められる安全基準や衛生基準が全く異なります。

「人が住める家なんだから、人を泊めても大丈夫だろう」という常識は通用しません。

法的要件のハードルが格段に上がる

一軒家を旅館業施設に転用する場合、以下の3つの法律の基準を同時に満たす必要があります。

  1. 旅館業法(保健所管轄): 衛生面、客室の広さ、トイレの数など
  2. 消防法(消防署管轄): 火災報知器、誘導灯、防炎物品など
  3. 建築基準法(建築指導課管轄): 用途地域、検査済証の有無、非常用照明など

これらは、物件の立地、面積、窓の大きさ、周辺道路の状況によって求められる設備が複雑に変動します。ネット上の情報だけで「たぶん大丈夫」と判断するのは、あまりに危険なギャンブルです。

「後出し」で追加費用が発生するリスク

事前相談を行わずに工事を始めてしまい、完了検査の段階で「トイレの数が足りない」「窓の大きさが排煙基準を満たしていない」と指摘された場合、壁を壊してのやり直し工事が必要になります。これによるコスト増とオープン遅延は、事業計画を根本から狂わせます。

【保健所】衛生管理と施設のスペックを確認する

まずは、旅館業法の許可権限を持つ「保健所」への相談です。ここでは主に、施設の構造や定員について協議します。

1. 定員と客室面積の計算

旅館業法では、客室の床面積に対して宿泊できる定員が決まっています(例:一人当たり3.3㎡以上など)。

「この広さなら10人は泊まれるだろう」と思っていても、図面を見せたら「寝室部分の面積計算方法が違うため、定員は6名までです」と言われることは珍しくありません。定員が減れば、想定していた売上も激減します。

2. トイレと洗面所の数

一軒家の場合、トイレが1つしかないケースが多いですが、定員によっては「トイレは2つ以上必要」「洗面所は独立していなければならない」といった指導が入る場合があります。

水回りの増設工事は高額になるため、既存の設備で許可が取れる定員ラインを探る必要があります。

3. フロント設置の要否

原則として旅館業には「玄関帳場(フロント)」の設置義務があります。

しかし、最近ではICT機器(タブレットでの顔認証システム等)の導入や、駆けつけ要件を満たすことでフロント設置を免除する自治体が増えています。この免除要件は自治体ごとに細かく異なるため、必ず最新の条例を確認しなければなりません。

【消防署】最もコストがかかる「消防設備」を確認する

民泊開業において、最もお金がかかるのが消防設備です。ここでの見積もりの甘さが、資金計画破綻の主因となります。

1. 自動火災報知設備の設置義務

一般住宅には簡易的な火災警報器が付いていますが、旅館業を行う場合、建物全体に配線を張り巡らせる「自動火災報知設備(自火報)」の設置が原則義務付けられます。

建物の規模によっては「特定小規模施設用」という無線式の安価なタイプが認められる場合もありますが、それでも数十万円〜の費用がかかります。本格的な自火報が必要な場合は、100万円単位の出費になります。

2. 誘導灯と防炎物品

非常口を示す緑色の「誘導灯」の設置や、カーテン・じゅうたんを「防炎物品(燃えにくい素材)」に変える必要があります。

3. 「無窓階」の判定

これが意外な落とし穴です。

部屋に窓があっても、格子の形状や大きさ、開閉のしやすさによっては、消防法上「窓がない部屋(無窓階)」と判定されることがあります。無窓階と判定されると、より厳しいスプリンクラー等の設置義務が発生したり、そもそも営業が認められなかったりするケースがあります。

【建築指導課】建物の適法性と用途地域を確認する

最後に、建物そのものの法的な安全性です。

1. 用途地域の確認

都市計画法上の「用途地域」によっては、旅館業の営業自体が禁止されているエリアがあります(例:住居専用地域など)。

どれだけ素晴らしい物件でも、用途地域がNGであれば絶対に許可は下りません。不動産仲介業者がこの知識を持っておらず、「住宅としては売買できるが、旅館業はできない物件」を勧めてくることもあるため、必ず自分で役所に確認しましょう。

2. 「検査済証」の有無

一軒家を旅館業に転用する際、延床面積が200㎡を超える場合は「用途変更」の確認申請が必要です。この時、新築時の「検査済証」がないと、手続きが極めて困難になります。

200㎡以下であれば確認申請は不要ですが、それでも建築基準法に適合していることは求められます。違法増築された物件などは、この段階でNGが出ます。

事前相談に行く際の「持ち物」と「タイミング」

事前相談は、早ければ早いほど良いです。ベストなタイミングは「物件の購入申し込み(買付証明)を入れる前」、遅くとも「契約前」です。

持参すべき資料

手ぶらで行っても具体的な回答は得られません。最低限、以下の資料を用意しましょう。

  • 物件の図面: 平面図(間取り図)。手書きでも寸法が入っていれば相談に乗ってくれる場合が多いですが、不動産屋からもらった図面があればベストです。
  • 案内図: 物件の場所がわかる地図(GoogleマップのコピーでOK)。
  • 求積図: 各部屋の面積がわかるもの。
  • 構想メモ: 「定員は何人を想定しているか」「どのような運営方法(無人か有人か)をするか」をまとめたメモ。

これらを持って窓口に行き、「ここで簡易宿所をやりたいのですが、ハードルになる点はありますか?」と率直に聞くことが成功への第一歩です。

まとめ:事前相談は「無料のリスク管理」である

役所への相談と聞くと、「藪蛇(やぶへび)になって厳しいことを言われたら嫌だ」と敬遠する方がいます。しかし、それは大きな間違いです。

役所の担当者は、法律に基づいて「安全に営業するための条件」を教えてくれるアドバイザーです。事前相談は無料で行えます。つまり、無料でできる最高のリスク管理なのです。

「契約してから発覚した」では遅すぎます。

大切な資金を守り、最短ルートで開業するためにも、面倒くさがらずに必ず事前相談に足を運んでください。そのひと手間が、あなたの民泊ビジネスを成功へと導きます。

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