民泊を始めたいと思って物件を購入した、あるいは所有している空き家を利用しようと思ったとき、多くの人が最初に取り掛かるのはリフォームや内装の刷新です。確かに、水回りをキレイにしたり、壁や床をリメイクしたりすることは大切ですし、ゲストに心地よい空間を提供するためには必要不可欠です。

しかし、いくら見栄えのする内装や最新設備を導入しても、誰に・どんな価値を・どのように提供するかが曖昧なままでは、本当にゲストが求めるコンセプトと噛み合わない可能性が高いのです。結果として「なぜか予約が伸びない」「思ったほど高評価がもらえない」という事態に陥りがちです。

そこで本記事では、「民泊やるならリフォームに着手する前に、まずターゲットとコンセプトを明確にしましょう」というテーマで、以下のポイントを解説していきます。

• なぜターゲットやコンセプトが重要なのか
• 具体的にターゲットとコンセプトを設定する手順や考え方
• リフォームや内装設計との紐づけ方
• ターゲットに合う価値をどう演出し、アピールするか

1. なぜターゲット・コンセプトの明確化が最優先なのか

1-1．「誰に向けて」のビジョンがなければ訴求できない

立地や設備を整えればゲストが来ると思う人もいるかもしれません。しかし現代の宿泊客は、多様化したニーズを持っています。若者向けやビジネス客向け、家族連れ、海外観光客、高齢者・シニア層……それぞれの層が求める設備や雰囲気、価格帯は大きく違います。

たとえば、若いカップルをターゲットにするならSNS映えするインテリアや、夜景を楽しめるバルコニーなどが訴求力となるかもしれません。一方、ファミリー向けなら広々キッチンや洗濯機・乾燥機など長期滞在にも適した設備が望まれるでしょう。ビジネス客を意識するならWi-Fiの速度やデスクスペースが重要です。

このように、どの層に合った物件づくりを目指すかが曖昧なままリフォームをしてしまうと、結果的に「誰にも刺さらない」中途半端な設備やデザインになりがちという落とし穴に陥ります。

1-2．差別化とブランディングの必要性

民泊市場は年々競争が激しくなっており、従来のアパートや一軒家を改装しただけの簡易的な宿泊施設が無数に存在します。その中で予約を勝ち取りたいなら、独自のコンセプトを打ち出して“ここにしかない体験”を演出する必要が高まっています。

• ラグジュアリー路線: ゴージャスな家具や高級リネンを揃えて、ホテルのような上質感
• 和モダンテイスト: 日本らしさを前面に押し出した内装や囲炉裏スペースなど
• ファミリー歓迎: キッズスペースや安全対策、ベビーベッドなど家庭的な装備
• リゾート風: 海外リゾートをイメージし、プールや広いテラスを設置

こうしたコンセプトがしっかり定まっていれば、写真や紹介文にも一貫性が生まれ、ゲストは「こういう体験がしたい！」と共感しやすくなります。逆に何も明確なテーマがないと、他の物件に埋もれてしまいがちです。

2. ターゲット設定の具体的手順

2-1．地元の観光・ビジネス需要を調べる

まずは、物件がある地域でどんな旅行者が多いかをリサーチしてみましょう。たとえば都市部ならビジネス客や海外観光客が中心かもしれませんし、地方のリゾート地なら家族やグループ旅行者が多いかもしれません。

地元の観光協会や商工会議所のデータ、自治体のインバウンド統計などを参考にすると、エリアごとの特色や需要が見えてくるはずです。ここで得た情報をもとに、「そもそも何人くらいのグループが多い？」「どの季節にピークがある？」といった想定客像を絞り込みます。

2-2．理想的なゲストのペルソナ化

ターゲットを「20代〜30代女性グループ」「海外のビジネス客」などと大まかに決めたら、さらにペルソナという形で細かいプロフィールを作成するとよいです。
例：

• 32歳・女性・カフェ巡りやSNS映えが大好き
• 国内旅行でコスパと写真映えを重視
• 友人2〜3人と女子旅をするのが恒例

こんな具体的なイメージを作ることで、「彼女たちに響くデザインは？」「設備で何を重視する？」などを具体的に検討でき、リフォームの方向性も自然と見えてきます。

3. コンセプト設計：ゲストにどう価値を提供するか

3-1．コアメッセージを一言でまとめる

コンセプトを考える際、「どんな価値を届ける物件か」を一言でまとめる作業がおすすめです。たとえば：

• “都会の中心でホッと一息、癒しの和空間”
• “グループ旅行にぴったりの、パーティー感満載民泊”
• “仕事×観光を両立するビジネス対応型スマート民泊”

このように、短くても強烈な印象を与えるフレーズを決めておけば、リフォーム時に「このメッセージに合う内装か？」を判断軸にできます。具体的には、シンプルで落ち着いた色合いにするのか、ポップな色使いでインスタ映えを狙うのかなど、一貫性あるデザインの実現につながるでしょう。

3-2．プライスレンジとサービスレベルの整合

コンセプトを決めても、「ラグジュアリーなのに低価格」「ファミリー向けなのに子ども備品が有料」などギャップがあるとゲストが混乱します。コンセプトに合わせて価格帯とサービス内容も整合性を取ることが重要です。

• ラグジュアリー路線なら、高めの宿泊費で余裕ある清掃・リネン・アメニティ提供
• ファミリー向けなら、子ども用寝具や調理器具を完備、キッズコーナーの設定など

コンセプトに見合った価格帯を設定することで、「何を期待していくら払うか」をゲストが納得しやすくなり、口コミ評価も高まりやすくなります。

4. リフォームとのリンク：具体的な活かし方

4-1．レイアウトや素材選び

ターゲットやコンセプトが定まったら、その方向性に合わせて内装レイアウトや素材選びを行います。

たとえば、和モダンなら畳スペースや木目調の壁紙を取り入れる、高級感を演出するなら大理石調の床材や間接照明を活用するなど、コンセプトを反映した選択を優先します。また、ファミリー向けならキッチンに作業スペースを広くとったり、収納を増やして子どもの荷物が収められるようにするなど、実際の暮らしやすさを意識した改装が必要となるでしょう。

4-2．設備投資の優先度を決める

リフォームや設備投資には当然コストが伴います。予算には限りがあるため、コンセプトに則って優先度をつけるのがポイントです。

• ビジネス客を想定するならデスクや高速Wi-Fiが必須で、多少ほかの装飾を削ってもそこに投資する価値がある
• 観光客向けなら、ラウンジスペースの充実やパーティー向けのカウンターを作ることで高評価を得られるかもしれない
• ラグジュアリーなら、ベッドやリネン品質、バスルームの設備など“ホテルライク”な部分に重点を置く

ターゲットの視点で「ここだけは妥協できない」という部分を決定し、そこに予算を集中投下する方法が結果的に効果的です。

5. 宣伝・プロモーションにも影響大

5-1．写真撮影の要点

どんなに素晴らしいリフォームをしても、写真がうまく撮れていなければBooking.comやAirbnb等の予約サイトで魅力を伝えきれないおそれがあります。

コンセプトがはっきりしているなら、その世界観を最大限に映し出す撮影を心がけましょう。たとえば和モダンなら障子越しの柔らかい光を活かした構図、ラグジュアリーならリネンの質感や照明の演出など、写真でゲストの想像力をかき立てる演出が必須です。

5-2．広告文やSNS発信との整合性

「若いカップルにおすすめ」「子ども連れでも安心」といったメッセージを明確にし、リフォームした内部の写真とともにSNSや予約サイトの説明文をアップデートしましょう。

ここでコンセプトと実際の写真が合っていないと信用を損ない、「写真と違う…」というクレームを招くリスクが出てきます。また、SNSでの発信はターゲット層にリーチしやすい大きな武器となります。インテリアや外観を活かした写真を積極的に投稿し、フォロワーや潜在ゲストに「こんな体験ができるんだ」と感じてもらいましょう。

6. まとめ：まずはターゲットとコンセプトの解像度を上げよう

民泊のリフォームに力を入れることは大切ですが、その前に「誰が」「何のために」「どんな価値を求めて宿泊するのか」を明確にする作業が不可欠です。これがあやふやだと、結局「とりあえず綺麗にはしたが、誰にも響かない物件」になりかねず、思ったような稼働率や収益を得るのは難しくなります。

ターゲットを定め、具体的なペルソナを想定したうえで、「この人が感動してくれるのはどんな内装？ どんな設備？」と逆算してリフォームの方針を決めれば、限られた予算を有効に活かせます。さらに、ブランドづくりに繋がるデザイン要素やアメニティ選びにも統一感が出て、ゲストへのアピールが容易になります。

結果として、リフォーム後に物件が持つ独自の魅力が際立ち、大手の低価格競争に巻き込まれにくいポジションを築ける可能性が高まるでしょう。「何も考えずにとりあえずお金をかける」のではなく、「どんなゲストに、どんな体験を提供するのか」を突き詰めてから作り上げる民泊こそが、長期的に成功を収める鍵です。

民泊のターゲットやコンセプト開発はStay Buddy株式会社にお任せください

民泊でリフォームを検討中だけれど、ターゲットやコンセプトの決め方がわからない、あるいはすでに運営しているけれどリニューアルして方向性を見直したい、そんな方はぜひStay Buddy株式会社へお問い合わせください。

多くの民泊物件を成功へ導いてきた知見をもとに、ターゲット設定やコンセプトづくり、具体的なリフォーム計画、さらにはマーケティング戦略やオペレーションの最適化までトータルでサポートいたします。誰に何を届けるかを明確にし、それに沿って内装やサービスを一貫させることで、競争の激しい民泊市場でも確固たる収益を得ていきましょう。