1. 安全性への配慮が必要

上段からの転落リスクと対策

2段ベッドを置く最も大きなメリットは、床面積を節約しながらベッド数を増やせるという点ですが、その半面で一番気をつけるべきが「転落」のリスクです。

上段で寝ているゲストが夜中に寝返りを打って落下したり、はしごの上り下り中に足を踏み外すことがあると、ケガや骨折など深刻な事故に繋がります。海外の宿泊施設でも2段ベッドは珍しくありませんが、体格の大きなゲストが使う場合や、慣れない子どもがはしゃいで上り下りする場合には、特に注意が必要でしょう。

そのため以下のような対策が推奨されます。

1. しっかりした柵（ガードレール）の設置
   上段の両サイドに十分な高さのガードレールを設け、寝返りだけでは落ちないようにします。低いガードレールだと大人でも簡単に乗り越えてしまう可能性があるので、基準としては30cm前後の高さがあると安心です。
2. 梯子（はしご）の安定性
   はしごがぐらつかないよう、しっかり固定されているかを確認します。取り外し可能な梯子を使用する場合は、ゲストが誤って取り外さないよう注意書きを行う、またははしご自体が柵に引っかかる仕組みでブレを最小限にするなど工夫しておくと良いです。
3. 耐荷重と設計の確認
   上段に耐荷重が記載されているベッドフレームを選び、ゲストの体格を想定しても十分な強度があるモデルを導入しましょう。とくに海外からの宿泊者は日本人より体格が良いことが多く、安定感がないフレームだと上段がしなる恐れがあります。

子どもの利用ルール設定

子ども連れのゲストが多い民泊では、年齢制限や保護者の監督をルール化することを検討するのも一案です。例えば、「6歳未満の子どもは上段のベッド利用を避ける」「保護者の許可なく登らせない」といったガイドラインを設けて、館内の案内や予約ページに記載しておくと、リスクが大幅に減らせます。

また、子どもが飛び跳ねないように促すメッセージを部屋のマニュアルに掲載すると、床やベッド自体の破損リスクを下げることにも繋がります。

2. ゲストが快適に使える配置・レイアウトの工夫

床面積の節約と動線の確保

2段ベッドを導入する利点は、横並びのベッド2つよりも、垂直にスペースを活用できることです。これは狭い部屋でも4人や6人の宿泊を可能にしたり、リビングやキッチン部分にゆとりを作れるため、収容力アップと空間の広さ演出が両立できるメリットがあります。

ただ、1つの部屋に2〜3台の2段ベッドを詰め込みすぎると、通路幅が狭くなり、荷物を広げるスペースやプライバシー面で不満が出るかもしれません。はしごの位置や壁からの距離なども含めて、最低限の動線を確保し、ゲストがストレスなく生活できるレイアウトを心がけましょう。

上段の空間高さと圧迫感

上段のベッドに寝るゲストからすると、天井との距離があまりに近いと圧迫感を感じることがあります。頭をぶつけたり、寝返りを打つと天井に触れてしまうケースは快適性を損ない、低評価につながる恐れがあるでしょう。

• 上段と天井の距離は人が座れる程度の余裕があると理想的
• 室内照明が上段に直接当たりすぎると眩しいため、カバーを付けるか、ベッド内に読書灯を用意してメインライトを消せるようにするとベスト

快適に使ってもらうためには、単なるスペース削減だけでなく、上段が適度に広く見える工夫に配慮すると好印象を得やすいです。

3. 運営管理コストと清掃のポイント

清掃時の負荷を考慮

2段ベッドを導入すると、上段のシーツ替えやマットレスの清掃が物理的に難しくなります。清掃スタッフがはしごを登って作業するため、通常のベッドより手間と時間がかかり、安全面のリスクもあるのです。

そのため、清掃マニュアルを作り、スタッフがスムーズにシーツ交換できる手順や、はしごの安全使用方法を共有しておくと良いです。時間と手間が増える分、清掃コストに上乗せしても採算が合うのかをあらかじめ計算しておく必要があるでしょう。

機能的なリネン・防水シートの選択

2段ベッドの上段は、万が一寝汗や飲み物のこぼしなどがあった場合、マットレスまで染み込みやすい位置にあります。落下によって下段のベッドも汚れることを防ぐため、防水シートや洗いやすいリネン、マットレスカバーを導入するのが賢明です。

これにより、ゲストの滞在終了後の清掃・リネン交換がスピードアップし、大きなシミやニオイが残るリスクを軽減できるはずです。

4. ゲストへの事前案内とマニュアル整備

ベッド選びを促す説明

2段ベッドを用意した民泊では、海外や年配のゲストが上段に上がって寝ることに抵抗を感じるかもしれません。予約段階やチェックイン時に、どのベッドが上段でどのベッドが下段なのか、写真付きで案内すると分かりやすいです。もし家族連れなら「お子様は下段がおすすめ」などと促すことも可能でしょう。

安全ガイドや注意書き

ブレーカー落ちなど他のトラブルと同じように、はしごの上り下り、上段からの転落防止について簡潔なガイドを置いておくと、ゲストが安心して利用できます。たとえば、英語・日本語で「頭上に注意」「足元に注意」「柵に寄りかからないでください」といった表示を貼っておくことで、大きな事故を未然に防げるかもしれません。

5. 賃貸との比較：2段ベッドの収益イメージ

賃貸運用では効率が低いかもしれない

もし部屋を賃貸として普通に貸し出す場合、2段ベッドを設置しても家賃が大きく上がるわけではなく、むしろ「奇抜」「子ども向け」と敬遠される可能性があるため、賃貸経営の視点ではあまりメリットにならないかもしれません。

一方、民泊なら、**「同じ広さでも定員を増やす」**ことができ、その分宿泊費をアップできる可能性があります。また、若者やファミリー層をターゲットにするなら、2段ベッドを使った工夫は十分に訴求力があると言えます。

実際の収益モデル

具体的には、通常のシングルベッドを2台置くスペースに2段ベッドを2台入れて4人定員にするなどの方法で、1泊あたりの単価を引き上げられることも少なくないです。ただし、人数が増えると水光熱費や清掃コストが増えるので、必ず「定員増による追加収益」と「運営コスト」を比較して損益がプラスになるか計算してみましょう。

6. まとめ：2段ベッド導入でゲスト満足度と収容力を向上、ただし安全管理が鍵

若者やグループ、家族連れを積極的に受け入れたい民泊では、2段ベッドの導入が収容力アップと魅力的な空間づくりに大きく寄与します。

通常のベッドよりも床スペースを節約しつつ、ゲスト数を増やせるため、稼働率や収益を拡大できるチャンスが広がるでしょう。さらに、子どもや若者にとっては2段ベッドが冒険心をくすぐる体験として好評を得ることも多く、「ここならではの面白い宿」としてSNSに投稿される可能性もあります。

とはいえ、上段からの転落やはしごの安全性には十分配慮が必要です。しっかりした柵の設置、はしごの固定、子どもが使う際のルールなどを整えないと、事故やクレームのリスクが高まります。また、清掃面では、上段のシーツ替えや、荷物の上げ下ろしに手間がかかるといったデメリットも存在するため、運営コストが増えることを念頭におきましょう。

それらを踏まえても、2段ベッドを導入するメリットは大きいです。部屋の魅力を上げ、若い世代やファミリーを惹きつける要素となり、ひとたびリピートや口コミ効果が発揮されれば、稼働率向上にも直結します。ぜひこの機会に、民泊に2段ベッドを置く際の注意事項を再確認し、ゲスト満足度と収容力を同時に高める運営を目指してみてはいかがでしょうか。

二段ベッドを活用した民泊運営はStay Buddy株式会社へお問合せください！

2段ベッド導入を含めた民泊運営の改善や、物件選びに関するご相談をお考えの方は、ぜひStay Buddy株式会社へお問い合わせください。

建築基準・消防法への適合アドバイスから宿泊室内のレイアウト提案、清掃オペレーションやゲスト対応の最適化まで、幅広いサポートを行っています。2段ベッドが本当に必要かどうか、導入するならどういったモデルがベストか、収容力と快適性を両立する最良の方法を一緒に考え、魅力的な民泊づくりをお手伝いします。