夏場は旅行需要が高まり、民泊の稼働率も自然と上昇します。海や山、イベントへのアクセス拠点として、多くのゲストが宿泊先を探す一方、高温多湿な日本の夏は室内環境が悪化しやすく、清掃や衛生管理の難易度も上がります。たとえば、カビや雑菌の繁殖が早まったり、エアコンの内部が汚れやすくなったりと、普段の時期にはあまり意識しない問題にも気を配らなければなりません。

この記事では「夏場の民泊清掃で気をつけるべき10のポイント」をテーマに、清潔感や快適性を確保することで、高温多湿の環境下でゲストに気持ちよく滞在してもらうための工夫を解説します。特にインバウンド需要が戻りつつある近年、多様な国籍のゲストが日本を訪れています。慣れない気候に戸惑う旅行者もいるなか、しっかりと清掃・メンテナンスを行うことでレビュー評価の向上とリピーター獲得が期待できます。

また、夏は清掃スタッフにとっても過酷なシーズンです。連日のように室内のチェックやリネン交換をするなかで、熱中症リスクや体調管理が課題になります。本記事では、オーナー目線だけでなく、清掃スタッフの健康と作業効率を考慮した視点も織り交ぜながら、合計10の重要ポイントを見ていきます。清掃体制を強化し、ゲスト満足度を高めるためのヒントが満載ですので、ぜひ最後までお読みください。

1.エアコンの徹底清掃とフィルター管理

1-1．エアコン内部の汚れは夏場に顕在化しやすい

夏場の民泊清掃で真っ先に意識したいのが、エアコンの徹底清掃です。エアコンは冷房運転中に室内の空気を吸い込みつつ結露しやすく、内部にカビやホコリが溜まがちです。ゲストがチェックインした際に「エアコンをつけたらカビ臭かった」「冷房が効かない」となると、すぐに低評価レビューに直結します。とりわけ海外からのゲストは室内環境のニオイに敏感で、エアコンからの異臭は大きなマイナスポイントとなるでしょう。

1-2．フィルター掃除とアルミフィン洗浄

定期的にエアコンフィルターを外して洗うのはもちろん、可能であればアルミフィン（熱交換器）の洗浄まで行うと、冷房効率と清潔感を同時に高められます。専門業者に依頼するクリーニングは費用がかかりますが、年間稼働日数や部屋数との兼ね合いを考慮して、定期的に実施することを検討しましょう。フィルターが目詰まりしていると、電気代の上昇や内部結露の増加につながり、結果としてカビの発生リスクも高まります。

1-3．消臭効果のあるアイテムの活用

エアコン吹き出し口用の消臭・除菌スプレーや、市販の防カビ剤などを活用すれば、ゲストのチェックイン前に簡易的なケアが可能です。ただし、これらはあくまで補助的な手段であり、根本的にはプロクリーニングや丁寧なフィルター洗浄が欠かせません。夏場は「客室の印象を決めるのはエアコン次第」といっても過言ではないため、エアコンケアを優先的に計画に組み込むことをおすすめします。

2．湿気対策とカビ予防

2-1．梅雨～真夏の高湿度がトラブルを招く

日本の夏は梅雨時期を起点として湿度が一気に上昇します。浴室や洗面所、キッチン周りなど水回りを中心に、カビが繁殖しやすい環境が整ってしまいがちです。ゲストが利用するタオルやスリッパにまでカビ臭がうつっていたら、宿泊体験の満足度は大幅に低下するでしょう。また、壁紙の裏やクローゼット内が湿気を帯びると、目に見えにくい場所でのカビ発生に気づきにくいデメリットもあるので注意が必要です。

2-2．除湿機やサーキュレーターの活用

湿度管理には除湿機やサーキュレーターの使用が有効です。清掃中だけでなく、ゲストが入室する前にも除湿機を稼働させておき、部屋全体の湿度を下げる工夫をするとカビの発生リスクを抑えやすくなります。特に連泊ゲストの場合、洗濯物を室内に干すことで湿度が急上昇しやすいため、部屋にサーキュレーターを常備して空気を循環させるアイデアも有効です。

2-3．塩素系洗剤やアルコール消毒で要所をカバー

湿度が高まる夏は、浴室のタイル目地や洗面台の隙間、キッチンシンク周りなどにカビや雑菌が繁殖しやすいポイントを集中して除菌するのが重要です。カビ取り剤や塩素系漂白剤、アルコール消毒スプレーなどを場面に応じて使い分けることで、見えないところまでしっかりリスクを低減できます。表面だけを拭いて終わりにせず、一歩踏み込んだクリーニングを行うと「見た目以上の清潔感」を演出できます。

3．リネン類の管理と交換サイクル

3-1．大量の汗と高温環境でリネンが痛みやすい

夏場の宿泊では、ゲストが大量に汗をかくため、シーツや枕カバー、タオルなどが早いペースで汚れたり匂ったりしやすくなります。特に連泊中は、タオルを部屋で干したままにしているうちに雑菌が繁殖し、不快なニオイの原因となるケースもあります。リネン交換のサイクルを見直し、夏は通常よりこまめに新しいものと交換することが大切です。

3-2．リネンサプライとの連携強化

大規模な民泊物件や複数の部屋を運営している場合、リネンサプライ業者との連携が欠かせません。夏場は需要が高まるので、業者側のスケジュールも混雑しがちです。早めに繁忙期のスケジュールを調整し、足りなくなるリスクを回避しましょう。タオルやシーツの予備を多めに用意し、スムーズに交換できる体制を整えることも忘れずに行ってください。

3-3．洗濯・乾燥の見直し

もし自前で洗濯・乾燥を行っている場合、梅雨や台風シーズンは外干しが難しくなり、乾燥に時間がかかることがあります。乾燥不足のままリネン類を収納すると、カビやニオイの原因となるので注意が必要です。除湿機や乾燥機をフル活用し、しっかりと乾かす工程を確保しましょう。生乾き臭を発生させないために、洗濯槽の定期的な清掃や抗菌洗剤の使用もおすすめです。

4．ゴミ捨てと生ゴミ処理の徹底

4-1．夏場のゴミは腐敗が早い

生ゴミや食べ残しなどは、気温が高い夏ほど腐敗スピードが速まり、悪臭や虫の発生が懸念されます。特に民泊では、ゲストが自由に調理や食事をするため、想定外のゴミが大量に出ることもしばしばです。清掃時にキッチンのシンクやゴミ箱をチェックし、可燃ゴミが放置されていないかこまめに確認しましょう。

4-2．防臭袋や密封容器の活用

生ゴミをそのままゴミ箱に入れると、ほぼ確実にニオイが漏れます。防臭効果のある専用のゴミ袋や密封容器に入れたうえで、こまめに外のゴミ捨て場へ運ぶことを徹底しましょう。特に臭いの強い食品を扱う場合（魚や肉など）は、ゲスト自身が処分する際にトラブルが起きないよう、わかりやすい案内も必要です。「ここに捨ててください」という誘導を英語やイラスト付きで掲示しておくと安心です。

4-3．冷蔵庫の食材チェック

連泊ゲストが退去したあと、冷蔵庫に食材や飲み残しが放置されているケースは珍しくありません。これを見落として次のゲストが入室すると、腐敗臭やカビが一気に広がる可能性があります。清掃の際は必ず冷蔵庫内を確認し、不要な食品は迅速に処分しましょう。冷蔵庫内の棚やパッキン部分もアルコール除菌しておくと、ニオイのもとを断ちやすくなります。

5．浴室とトイレの防カビ・防臭対策

5-1．水回りこそレビューの印象を左右する

海外からの旅行者を含め、多くのゲストが気にするのが浴室やトイレの清潔感です。夏の高温多湿は、カビや水アカがすぐに発生する条件を整えてしまうため、「こまめな清掃」が一層重要になります。天井や壁の隅など普段は見落としがちな箇所までしっかり洗浄し、カビ取り剤などで初期段階から対処しておくことで、浴室の黒ずみやピンク汚れを防ぎやすくなるでしょう。

5-2．換気扇のメンテナンス

浴室やトイレの換気扇がホコリで目詰まりしていると、換気効率が落ちて湿気が溜まりやすくなります。夏場はシャワーを使う回数が増えるので、換気扇を十分に活用できる状態に整えておくことが大切です。カバーを取り外してフィルター掃除をするほか、ファン内部の清掃を行い、風の通り道を確保しましょう。オーナーや清掃スタッフだけで難しい場合は、専門業者に頼むのも手段のひとつです。

5-3．トイレの消臭と便器周辺の除菌

暑い時期はトイレのニオイもこもりがちです。便器の内側や便座裏だけでなく、床や壁との隙間、タンク部分などをアルコールなどで拭き上げ、ニオイを根本から除去する意識を持ちましょう。消臭スプレーや芳香剤の設置も効果的ですが、一時的に匂いを隠すだけではゲストの本音評価は向上しません。物理的に汚れを落とす徹底ぶりが、本当の意味での防臭対策といえます。

6．キッチン・ダイニング周りのニオイと衛生管理

6-1．油汚れや食べ残しに注意

夏場は調理の際、油汚れが溜まりやすく、臭いの強い料理を作るゲストも増えるかもしれません。キッチンの壁や換気扇、コンロの周辺にはねた油汚れは、放置するとベタつきやニオイの原因になります。清掃時に焦げつきや油汚れがないかチェックし、中性洗剤や専用の油汚れ用洗剤を使ってしっかり落とすことが大事です。

6-2．シンク内の排水口を徹底ケア

シンクの排水口は生ゴミや洗剤カスが溜まりやすく、特に夏場は雑菌の温床となりやすい部分です。水切りカゴや排水口のカバーは外して洗い、ゴミ受けもしっかり除菌しましょう。塩素系漂白剤などを使って排水口まで除菌すると、悪臭の発生を予防できます。ゲストが利用した後のチェックアウト清掃でも「見えない場所をどこまでやるか」がホストの評価に直結するため、しっかり確認を怠らないようにしましょう。

6-3．冷凍室・野菜室のチェック

冷蔵庫内でも、冷凍室や野菜室は見落としやすい場所です。特に野菜室は湿度が高く、野菜クズや土が溜まっているケースが珍しくありません。食材によっては夏の高温でドロドロに溶けてしまうこともあるため、定期的に全て取り出して拭き掃除をするのがおすすめです。冷凍室も放置された食品があれば腐ることは少ないですが、パッケージの汁漏れやラップが外れている場合はニオイ移りなどの問題が起こりえます。

7．虫の侵入対策

7-1．ゴキブリ・蚊・ハエの三大トラブル

夏場の害虫被害で多いのはゴキブリ、蚊、そしてハエです。どれも衛生面の問題やゲストの不快感につながりやすいため、事前に侵入経路を塞ぐ対策が重要となります。窓やドアの隙間にはスキマテープを貼り、排水口には水をためるなど、できるだけ侵入を防ぐ手段を講じましょう。また、ゴミ捨てが遅れて生ゴミがたまっているとハエが繁殖しやすくなるため、こまめに回収することが大切です。

7-2．殺虫剤と防虫グッズの活用

害虫対策用のスプレーや燻煙剤を使うことを検討してもよいでしょう。ただし、ゲストが到着する直前に薬剤を撒きすぎると、部屋に薬剤臭が残って逆効果になる恐れもあります。蚊取り線香や電気蚊取り器など、ゲストが自主的に使えるアイテムを常備しておくと安心感が高まります。地域や建物の構造によっては、事前に専門の害虫駆除業者に定期メンテナンスを依頼するのも一つの選択肢です。

7-3．排水トラップの水切れに注意

あまり使わない洗面台や浴室、空き部屋の排水口などは、水が蒸発して排水トラップが機能しなくなることがあります。そうなると下水道からゴキブリや虫が侵入しやすくなるため、長期間使っていない蛇口や排水口には定期的に水を流す、封水を補充するなどの対策が必要です。特に夏場は水の蒸発が早いので、数日使わないだけでもトラップが切れてしまう場合があります。

8．清掃スタッフの熱中症対策

8-1．室内作業でも油断大敵

夏場の民泊清掃では、スタッフが1日に複数の部屋を行き来し、掃除機や雑巾がけなどを行うため、相当な体力を消耗します。エアコンがオフの部屋や換気中の部屋で長時間作業すると、室内でも熱中症になるリスクが高まるのです。オーナーとしてスタッフの健康管理に配慮し、清掃スケジュールの組み方や作業環境の整備を見直す必要があります。

8-2．こまめな水分補給と休憩

清掃スタッフが十分に水分・塩分補給できるよう、各フロアや管理室などに飲料水やスポーツドリンク、塩飴などを常備すると良いでしょう。休憩時間を削って急いで作業させても、品質が下がったり体調不良で欠員が出てしまう可能性があり、結果的にマイナスの影響が大きいです。作業効率と健康を両立させるためにも、短い休憩をこまめに挟みながら清掃スケジュールを組むことが肝要です。

8-3．作業服や安全靴の見直し

清掃スタッフの服装が通気性の低い素材や、長袖・長ズボンのみであれば、夏場は体温が急上昇しやすくなります。制服や作業服の素材を見直し、速乾性や通気性の良いものに変えるだけでも快適度が大きく向上します。足元も安全靴を履く必要がある場合、メッシュ素材や軽量設計のものを選ぶと作業負担を軽減できるでしょう。

9．連泊・長期滞在ゲストへの対応

9-1．ゴミ処理やタオル交換のタイミング

夏場は短期滞在よりも連泊や長期滞在のゲストに対し、より細やかな清掃サービスが求められます。例えば、タオル交換を何日ごとに行うか、ゴミの回収をどのタイミングでするかなど、あらかじめゲストとコミュニケーションを取っておくと混乱が少ないです。定期的にスタッフが訪問してゴミを回収できるシステムを用意しておけば、虫や悪臭のリスクを軽減できます。

9-2．客室内の室温管理

長期滞在ゲストが外出中にエアコンを切ってしまうと、室内が高温多湿になり、夜に帰ってきたゲストがカビ臭や湿気を感じるかもしれません。チェックイン時に「外出時も弱冷房や除湿運転を続けると、室内環境が快適に保たれます」などのメモを置いておくのも一案です。ただし、省エネ意識の強いゲストもいるため、無理強いは禁物。あくまで提案や注意喚起にとどめましょう。

9-3．リネンや清掃のオプション提供

長期滞在ゲストに対しては、有料または無料で追加の清掃やリネン交換をオプションとして提供する方法もあります。「必要なときに呼べる」という仕組みをアナウンスしておけば、ゲストのニーズに柔軟に応えられ、結果としてクチコミ評価を上げるきっかけになります。夏場は特に、こまめな清掃が歓迎されることが多いので、料金プランに明示しておくと利用者が増えるかもしれません。

10．レビュー向上とリピーター獲得のカギ

10-1．「夏に快適だった」という体験が好評価につながる

多くの旅行者は民泊の予約前にクチコミをチェックし、特に清掃状況や快適性を重視します。夏場は高温多湿という日本特有の気候を苦手とするゲストも多いため、「エアコンが快適」「清潔感が素晴らしい」といったレビューは決定打になりやすいです。逆に、「カビ臭かった」「ゴミが残っていた」などの悪評はすぐに予約数の減少につながるため、日々の清掃クオリティをいかに高水準で維持するかがポイントになります。

10-2．アフターメッセージの活用

ゲストがチェックアウトした後、「快適に滞在していただけましたでしょうか？」といったフォローアップのメッセージを送り、感想や要望を聞いてみるのも有効です。良い評価をもらえればレビュー投稿を促し、何か不満があったら改善点として真摯に受け止める姿勢を示すと、今後の運営レベルを高める材料になります。夏に特化したクリーニングやサービスについての感想を集めることは、次のシーズンへの改善策を練るうえでも非常に役立ちます。

10-3．長期視点での清掃計画

民泊運営はシーズンごとに課題が異なりますが、夏場ほど清掃に手間と労力がかかる季節は少ないかもしれません。だからこそ、夏の繁忙期に丁寧かつ計画的に取り組むことで、ゲストからの評価とリピーター率を高められます。冬やオフシーズンには改修やメンテナンスを重点的に行い、季節ごとに強みを発揮できる宿を作っていくと長期的に安定した運営が期待できるでしょう。

【まとめ】夏場の清掃が民泊品質を左右する

夏は旅行のハイシーズンでありながら、高温多湿や虫の増加など、清掃や衛生面の管理が非常に難しい時期でもあります。エアコンのフィルター清掃やカビ対策、ゴミや水回りの徹底ケア、スタッフの熱中症対策など、多角的な視点で予防策やメンテナンスを行わなければなりません。今回紹介した10のポイントを抑えておけば、ゲストからの不満を大幅に減らし、快適な宿泊体験を提供しやすくなるはずです。

民泊の成否は「清潔感」に大きく左右されます。夏場に快適に過ごせる民泊は、ゲストから高く評価され、シーズンを問わず予約されやすい存在へと成長していくでしょう。清掃やメンテナンスを徹底することで、レビューサイトでの評価アップやリピーター獲得につながり、結果的に収益向上にも大きく寄与します。夏の対策をしっかり行うことで、年間を通じて安定した運営を目指してみてください。

Stay Buddy株式会社へのお問い合わせ

民泊運営における清掃体制の強化や夏場のカビ・虫対策、さらにはスタッフの管理や多言語対応などでお悩みの方は、ぜひStay Buddy株式会社にご相談ください。申請手続きや内装コーディネートだけでなく、清掃やゲスト対応の代行サービスまで含めて幅広くサポートいたします。ゲスト満足度を高め、安定した民泊運営を実現するためのノウハウと経験が豊富にございますので、お気軽にお問い合わせください。